イベントレポート
「志賀高原 星景フォトツアー」レポート(2023年8月18日開催)
2023/09/19

2023年8月18日~19日にかけて、星景写真家・タイムラプスクリエイターの成澤広幸氏を講師にお迎えし、長野県志賀高原にて星景写真と星景タイムラプスを一度に学べるフォトツアーを開催しました。その様子をレポートにてご紹介します。
 

ズームレンズで星景写真を撮るメリット

まず初めに、今回のセミナーで皆さんにお貸出しさせていただいたタムロンレンズの特徴をご紹介いただきました。

①風景を入れ込んだ星景写真にはズームレンズがピッタリ
不安定な足場や暗闇での撮影において、これ以上進めない…といった撮影もあります。周囲の風景を入れ込んだ星景写真では、ズーム域を活かしてシンプルな構図を撮ることが可能。広角単焦点レンズを使うとトリミングすることになるが、なるべく高画素で撮りたい。

②画面周辺と中心の星の大きさが変わらない、色収差が少なく癖がないこと
色収差は言わずもがな、癖のない描写で撮影後のレタッチが必須となる星景撮影はもちろんのこと、タイムラプスでもこの癖のない描写が生きてきます。


③”寄れる”広角マクロが使えること
星景撮影と直接の関係はありませんが、パンフォーカスのような使い方で背景をぼかした写真を撮ることが可能。1本でバリエーション多く撮影できます。
 

星景写真の魅力は「その場所でしか見ることができない星空」を伝えらえること

講義では星景写真の基礎がぎっしりと詰め込まれた充実度1,000%の内容となっており、星景写真撮影経験のある方にとっても、改めてカメラの設定や機材の使い分けなど役に立つ内容が多かったのではないでしょうか。
星景写真というと、超広角レンズをイメージする人が多いと思いますが、講義ではレンタルできるタムロンレンズを含めて、標準レンズや望遠レンズを使うとどんな被写体が収められるのかを一覧でご紹介いただきました。お手持ちのレンズでも様々な被写体が撮れることがわかります。
撮影は暗闇での作業となることから、カメラの設定や無限遠の出し方などを丁寧にレクチャー頂きました。どこで何を撮るのかによって、準備や機材、撮影後のレタッチ内容まで全く変わってくるというところも、星景写真の奥深さですね。

タイムラプスは撮影3割、編集7割!

タイムラプス撮影未経験者は少なかったものの、改めて「星景タイムラプス撮影」の基本をレクチャー頂きました。タイムラプス撮影とは等間隔で撮影した画像を時系列で動画化したものです。そのため、前段で講義を受けた「星景写真」がきちんと撮れていれば、基本はクリアです。講師の成澤氏いわく、タイムラプスの高度な表現を極めるためには、撮影3割・編集7割といった比重で制作されているとのこと。見やすさ、滑らかさを表現するポイントを3つ教えていただきました。

①シャッタースピード
適切なシャッタースピードに設定することで、画像の滑らかさ、コマ送り感をなくします。夜間なのか、昼間なのかで露出時間も変わります。

②インターバル
シャッタースピード同様に動画の滑らかさ、コマ送り感をなくします。どの程度の尺の動画なのかで撮影間隔の調整も必要です。

③フレームレート
撮影時には関係ありませんが、適切なフレームレートの設定で動画の滑らかさ、コマ落ち感をなくします。1秒間に30フレームが基本となります。

この他、座学では星景タイムラプス撮影のカメラ設定やおすすめアイテムの紹介、実際に成澤氏が制作した様々なタイムラプス作品の数々をご紹介いただきました。

撮影実習

日が沈んだ夜19時より撮影実習の予定でしたが、空は雲に覆われ星が見えない状況でした。撮影する場所の標高は1,500mと宿泊地よりも高いため、講師の成澤氏による判断で21時まで待機となりました。星景写真愛好家の中では常用ツールとなっている、Windy.comを使って雲の様子をリアルタイムで確認しつつ、成澤氏の「雨が降ったらその後晴れる」という言葉通り、雨の後にうっすら東の空に晴れ間が見えてきました。

23時までの短かい時間の中で、残念ながら天の川は見えなかったものの北斗七星と長野の街の明かりを入れた構図を中心に撮影することができました。静物(バス)を入れた縦構図での撮影レッスンも行われ、あっという間の実習となりました。23時過ぎ、バスに乗って宿泊先に戻るとホテル前の空は晴れ間が見え始めていて、遅い時間だったため任意の参加となりましたが、成澤氏の監修の元、天の川のタイムラプス撮影まで撮りきることができました。インターバル撮影の間、どんなことをして過ごすのか、機材は何を使用しているのか、参加者から講師への質問タイムとなっていました。

 

講評会

翌日、朝食後に講評会を実施しました。今回は、提出された作品に対して成澤氏が直接編集のレクチャーをしていくというスタイルです。星景写真でもタイムラプスでもOKということで、それぞれの作品をレタッチしながら構図の工夫ポイントや、ツールの解説をしていただきました。今回はセミナー後に成澤氏がレタッチした完成版の作品を受け取れるという嬉しいお土産付きでした。後編集が必要になる星景写真・星景タイムラプス作品を仕上げる上で編集の参考になったのではないでしょうか。

講師

 
  写真家・タイムラプスクリエイター
  成澤広幸

1980年5月31日生まれ。北海道留萌市出身。埼玉県在住。 星空写真家・タイムラプスクリエイター・YouTuber。公益社団法人日本写真家協会(JPS)正会員。富士フイルムFPS会員・アカデミーX講師、ニコンNPS会員。全国各地のカメラ専門店・量販店で星空撮影セミナーを多数開催。カメラ雑誌・webマガジンなどで連載を担当。 星空写真全般(星景・天体)と、幅広い被写体のタイムラプスを撮影。特に「Holy Grail」と呼ばれる夕焼け〜星空〜朝焼けのタイムラプス表現を得意とする。 写真スタジオ、天体望遠鏡メーカーでの勤務の後、2020年4月に独立。動画撮影・編集技術を磨くべくYouTuberとしての活動を本格的にスタート。さまざまな情報発信に努めている。

【写真家サイト】
HP:https://www.hiroyukinarisawa-photography.com/ 
Twitter:https://twitter.com/Marmalade_boya 
YOUTUBE:https://www.youtube.com/c/HiroyukiNarisawaTimelapseFilm 
Instagram:https://www.instagram.com/marmalade_boya555/

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※今回講師の北山氏は体調不良によりお休みとなりました。

 

まとめ

今回のセミナーはTAMRON BASE初の宿泊を伴う撮影セミナーとなりました。星景撮影+タイムラプス撮影ということで、座学の時間を多く設定しました。星景撮影はどうしても天候に左右されますが、少ないチャンスの中でも目的の撮影が慣行でき、講評会まで実施することができました。座学や食事の際も参加者の皆様が楽しく写真談義をされていて、交流の場としてもご満足いただけるセミナーになったのではないでしょうか。今後もTAMRON BASEでは様々なイベントを通して皆様と交流を楽しみたいと思いますので、引き続きTAMRON BASEをご活用ください!
参加者の皆様と撮影した集合写真は、イベント参加者限定の掲示板にて公開させていただいております。
 

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