レンズとめぐる日本の風景
素敵な風景に出会いたい、秋・四季の富士山 ~後編~
2021/12/10
富士山写真家のTAKASHIです。
レンズとめぐる日本の風景、富士山の秋の光景の後編です。前編では河口湖や精進湖のもみじの撮影スポットをご紹介しました。後編は少し範囲を広げて、ひと味違う富士山の情景をご覧ください。

まずご紹介するのは二十曲峠と言う場所です。忍野村から車で10分ほどの場所で、峠に向かう道は見通しの悪い林道なので対向車に注意してください。峠の小さい広場にはトイレも常設されていて、車を降りてすぐに富士山を撮影できる名所です。数本のもみじと常緑樹をバランス良く配置することで峠から見た光景を表現できます。


二十曲峠/使用レンズ:28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)
焦点距離:32mm 絞り:F14 シャッタースピード:1/20秒 ISO感度:200 使用カメラ:ソニー α7R III

富士山を撮影して回っているとお腹も空いてきます。道の駅富士吉田で一服されるのはいかがでしょうか。名物吉田のうどんをいただくことができ、敷地には富士山レーダードーム館や、モンベルのショップ、天然水で作られたビールが有名なレストランふじやまビールなどがあり、高速道路にも近いので何かと便利です。


道の駅富士吉田

さて、秋の富士山はもみじ以外にも素晴らしいシーンに出会えることがあります。空気が澄んで月が綺麗に見えるのも、晴れた空に日の出が映えるのも、そして、雲海や霧の光景に出会える確率が高くなるのも秋の魅力と言えます。晩秋に入って気温が下がってくると魅力が増す富士山の光景を、いくつかご紹介します。

秋と言えば月。夕日に赤く染まる富士山から顔を出す月を捉えたパール富士です。大口径望遠ズームの70-180mm F2.8 (Model A056) の180mmで撮影したものを面積比50%までクロップしてみましたが、月と山頂の荒々しい表情まで克明に写っているのには驚きました。


パール富士/使用レンズ:70-180mm F2.8 (Model A056)
※180mmで撮影し、面積比50%までクロップ
焦点距離:180mm 絞り:F11 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R III

次は、精進湖と本栖湖の日の出をご紹介します。晩秋から初冬にかけて日の出の位置が富士山に最も近くなるため、この二つの湖は、日の出の撮影に最も良い時期となります。残念ながら、富士山の山頂から陽が昇るダイヤモンド富士にはなりませんが、美しい光景が狙えます。

正月三が日は初日の出を撮影するために例年大勢の人で混雑するため、12月に撮影して年賀状に使うパターンがおすすめです。1枚目の精進湖の日の出と2枚目の本栖湖の日の出はほぼ同じ時期に撮影したものですが、本栖湖の方が精進湖より少し南にあるため、日の出の位置もより富士山に近くなります。


精進湖/使用レンズ:35mm F2.8 (Model F053)
焦点距離:35mm 絞り:F14 シャッタースピード:1/160秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R IV


本栖湖/使用レンズ:28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)
焦点距離:31mm 絞り:F11 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R III

日の出の頃、精進湖と本栖湖は富士山の北西方向にあるため日の光は逆光となりますが、富士山の北東方向にある山中湖では順光になります。これらの湖では気温が下がった夜明けに湖面から霧が立つことがあります。

山中湖にはこの時期、白鳥がたくさん飛来するので、タイミングが良ければ白鳥と富士山のコラボを撮ることができます。山中湖の日の出で晴れ始めた霧の中から突然やってきた白鳥たち。コンパクトな35mm単焦点レンズを活かして、手持ちで低い姿勢から難なく撮影できました。


山中湖/使用レンズ:35mm F2.8 (Model F053)
焦点距離:35mm 絞り:F14 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R III

そして、この時期は雲海が出やすい時期でもあります。雲海を見るには山に登る必要がありますが、車でも行ける御坂峠なら、登山をしなくても雲海が撮れるかもしれません。大雲海とはいきませんが、河口湖にたなびく湖上の雲と、朝日で色づく空の雲の対比が面白い、御坂峠からの一枚をご覧ください。御坂峠への道は晩秋以降凍結や降雪の可能性があるため適切な装備と注意が必要です。


御坂峠天下茶屋/使用レンズ:28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)
焦点距離:54mm 絞り:F8 シャッタースピード:1/50秒 ISO感度:100 使用カメラ:ソニー α7R III

富士山は四季折々の魅力に満ちた美しい山です。この記事を参考にしていただき、秋の魅力に触れる機会を持っていただければ幸いです。

 

写真家プロフィール

 
    富士山写真家 TAKASHI

2011年から富士山を撮り始め、2014年から美しくドラマチックな富士山からアートな富士山まで多彩な作品を世界に発信している。数多くの国際コンテスト受賞に裏打ちされた作品は、アメリカのナショナルジオグラフィックでトラベラー誌表紙採用・写真集掲載・多数のWEB特集・写真提供と幅広く活躍しているだけでなく、世界各国のT V・新聞・専門誌・WEBマガジン・北斎関連書籍など多くのメディアで紹介され、国際的なコンテストやプロ写真サイトの審査員も務めている。
 

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今回ご使用いただいたレンズ

■タムロン28-200mm F/2.8-5.6 Di III RXD (Model A071)

2020年6月発売。F2.8スタート、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応のソニー Eマウント用高倍率ズームです。広角端28mmから望遠端200mmを1本でカバーする便利さに、“開放F2.8”と“高画質”という魅力が加わり、写真表現の幅や楽しさが広がるレンズです。
28-200mm F2.8-5.6 (Model A071)製品ページ

■タムロン70-180mm F/2.8 Di III VXD (Model A056)

2020年5月発売。開放F2.8通しの高性能レンズでありながら、フィルター径φ67mm、最大径φ81mm、長さ149mm(70mm時)、重量810gという軽量コンパクトボディの、ソニー Eマウント用大口径望遠ズームです。高い描写性能と高速・高精度AFで、望遠撮影の楽しさを広げます。
70-180mm F2.8 (Model A056)製品ページ

■タムロン35mm F/2.8 Di III OSD M1:2 (Model F053)

2019年12月発売。ソニー Eマウント用の単焦点レンズです。広角ズームで気軽にスナップ撮影を楽しむことができます。単焦点レンズに相応しい明るさと軽さに加え、優れた近接撮影能力が特長です。
35mm F2.8 (Model F053)製品ページ
 
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