撮ってみよう
お子さまの「今」を写真に残そう!楽しい雰囲気づくりの方法を伝授します
2022/10/31
こんにちは!ファミリー&キッズフォトグラファーの石井寛子です。
元々モデル活動をしていて、昔タムロンさんのステージにも出演したことがあり…。撮られる側から撮る側へ。本格的にシフトしたきっかけは第一子を出産してからです。愛しい我が子の成長を記録したい!と、私と同じようにカメラやレンズを購入されたお父さんお母さんも多いと思います。撮る側と撮られる側の関係性が如実にあらわれる、お子さま撮影。その魅力とテクニックを、育児で培った母の知恵も交えながらたっぷりお届けします。
 

童心に返って。まずは一緒に遊んでみよう!

今回は遊び慣れた馴染みのある公園で何人かのお子さまに撮影をお願いしました。使用するレンズは、タムロン70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD (Model A047)。運動会やお遊戯会など、観客席からの撮影でも大活躍する望遠ズームレンズです。

ここで、よし!撮るぞ~!といきなり大きなレンズを向けると、どんな子供でもびっくりしてしまいます。初めて会うお子さまに「笑って♪」とにこやかに伝えたところで、ママの背後に隠れちゃうことも。(それはそれで可愛いので、私はこっそりと1枚だけ撮影してしまいますが…)

撮る側としては、立ち位置の指定や表情のリクエストなど、お願い事が出てきます。一方撮られる子供にとって、公園は普段遊ぶ場所。「遊びたい」「触りたい」「走りたい」という子供の心の声に耳を傾けて。まずは、色づいたキレイな葉っぱを一緒に探しました。


焦点距離:70mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:250 使用カメラ:ソニー α7 III

葉っぱ何色かわかるかな?何枚ある?会話ができる距離に座って、広角側で撮影しました。子供は足元が緩んでしまいがちなので、きちんと揃えるようリクエスト。ばっちり応えてくれた時は、無言でシャッターを切るのではなく「上手!ありがとう!」とお礼を忘れずに。「褒め育」ならぬ「褒め撮り」。初対面のお子さまを撮影するときにもマストな、心の距離を縮める大切な言葉です。



焦点距離:206mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:250 使用カメラ:ソニー α7 III

そのままの流れでズームリングを回し、望遠側でアップを狙って撮影しました。私の背後にはお母様に立っていただいているので、自然と笑顔で見上げるような視線となり、アイキャッチが入っています。近しい間柄でないと踏み込めないパーソナルスペースにも、望遠域をうまく使ってしっかりと歩み寄ることができます。




焦点距離:92mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/125秒 ISO感度:250 使用カメラ:ソニー α7 III

秋はどんぐりや色とりどりの落ち葉や木の枝と、小さな子供が大好きな自然のおもちゃがたくさん。「穴が空いてる!虫が食べちゃったのかな?ちょっとカメラに見せて~?」と会話をしながらシャッターを切っていけば、だんだんと撮られることに子供も応えてくれます。さて、いよいよカメラを下げた近所のおばちゃんも、大好きなお母さんの視点に踏み入ることができました!
 

コロナ禍での撮影、お子さまの興味をひくコツ

どんな現場でも、カメラマンはマスクの着用が必須となります。初めましての状況で、表情が見えない人に黒いカメラを向けられるというのは、実は赤ちゃんやお子さまにとっては威圧的に見えてしまうことも。いきなり近づかず、まずは目線を同じ高さに合わせて、ゆっくり静かに話しかけています。また、少しでも安心してもらえるよう、撮影時は、キャラクターデザインのマスクを付けています。

特に子供の撮影で難しいのが、望遠で撮りたいけど目線はこちらに欲しいときです(あわよくば笑顔も)。集中力がない、じっとしていられないお子さまを、遠くからコントロールしたい。そんな時は、
「今からお姉さん、とおーくにいくから、見ててね。手を振ったら写真撮るよ!」
「シールここ(地面)においておくから、つま先を合わせて、合図がするまで動かずにいてね。」
など、ルールを設けます。男の子はとくにじっとしていられないことが多いので、足元シールで停止マーク。これはかなり使える必殺技です。

そして、離れていく道中に手でメガネポーズを作ってお子さんを探したり、「だるまさんが転んだ」のごとく振り返ってみたり… ピエロに扮して、子供の注目と笑顔をレンズに一点集中させます。力技で大声を出してカメラを向いてもらうことも可能ですが、神社など公の場所では、撮影者である前に、人として、参拝マナーを重んじたいと心がけています。



焦点距離:192mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/640秒 ISO感度:640 使用カメラ:ソニー α7 III

大きく手を振る私に、遠くから笑顔で応えてくれる瞬間は、嬉しい!の一言に尽きます。きれいな木漏れ日が降り注ぐ並木道。玉ボケだけの世界観にしたく、余計なものが映らないよう道の傾斜を使い、あおって撮影しました。にっこりキラキラ笑顔を日の丸構図でとらえ、主役を際立たせてみました。



焦点距離:300mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:400 使用カメラ:ソニー α7 III

伸び切った芝の中、よーいドン!の合図で走り出した5歳の男の子の全力疾走。私も虫の目線でかがみ込んで撮影。望遠の圧縮効果も相まって、葉の密度も増し、自然いっぱいな様子が表現できました。たんまり遊んだ公園遊びの帰り道。子供らしさを存分に散りばめて。



焦点距離:137mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/1000秒 ISO感度:400 使用カメラ:ソニー α7 III

徐々に近づいてくる姿を、ズームアウトして立ち上がり撮影。幅広い焦点距離のおかげで子供の動きを逃さずキャッチできました。もうワンテイク!が難しいのが、お子さま撮影。子供の動きを先読みしながらこちらも試行錯誤です。
 

一枚あると、便利なアイテム!白い布

ロケ撮影では、極力身軽に撮影したいもの。撮影の合間にお子さまに休憩がてら座ってもらったり、寝そべり赤ちゃんを撮影するときに寝かせたり、時にはレフ板がわりにと大活躍するのが、厚手の白い布です。娘が赤ちゃんのときに使っていた、90×90のニット地のおくるみ布。コンパクトにたためてしわにもならず、何かと便利です。



焦点距離:219mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/500秒 ISO感度:800 使用カメラ:ソニー α7 III

まだ生後4ヶ月の赤ちゃん。腹ばいで視線の先にはお母さん。一生懸命見上げる眼差しがたまりません。お家フォトではおなじみのポーズですが、屋外では白布が大活躍。緑被りを防ぎ、しっかりレフ効果も。



焦点距離:76mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/1250秒 ISO感度:400 使用カメラ:ソニー α7 III

ちょっと小休憩にと芝生の上で一休み。芝生の場合は直接地べたに座ってもらうことも多いのですが、今回は緑被りを防ぐために、白布の上に座って撮影。日陰が見当たらず、顔にかげも出やすい環境だったのですが、白布はほんのりレフ板効果も備えています。おかげで黒目にアイキャッチも入り、瞳の輝きがより増しました。



焦点距離:131mm 絞り:F5 シャッタースピード:1/250秒 ISO感度:500 使用カメラ:ソニー α7 III

姉妹の可愛い写真。まだ6ヶ月の妹さんは自分で座れないので、お姉さんに背後で支えてもらいました。直で座ると落ち葉が素足に当たってしまうので、白布の上に座ってもらいました。自然と包みこむようなポーズになり、姉妹の仲の良い様子が伝わると思います。



焦点距離:186mm 絞り:F6.3 シャッタースピード:1/80秒 ISO感度:200 使用カメラ:ソニー α7 III

撮影したのは10月初旬、一番キレイに咲いているコスモスを探してもらい、少しお花に顔を近づけてもらいました。まだ蕾が多かったので、草花には半逆光のベールを纏わせ、花壇を挟んで手前から狙いました。モデル役のお姉ちゃんの自然を大切にする優しい気持ちが、表情や指先にそのまま表れている一枚です。



焦点距離:215mm 絞り:F5.6 シャッタースピード:1/200秒 ISO感度:500 使用カメラ:ソニー α7 III

金木犀が連なる並木道。漂ってくるあまい香りに誘われて記念撮影。向こう側の木も映り込むよう画角を合わせ、玉ボケで小さなオレンジ色を入れて満開の様子を表現しました。ちょうどお昼頃で真上から陽が当たるので、顔に影が出ないよう木陰に入ってもらい撮影しました。

 

撮影を終えて…

子供はとにかく素直。遊びながら、成長記録とともにちょっと画になる写真を撮影できたら御の字です。そんなリラックスした気持ちで撮影を進めるのが、子供のナチュラルな表情を捉える近道だと感じます。そして子供に動きを委ねることで、大人の想像をはるかに超えた、ダイナミックな表現をしてくれる時があります。この構図は必ず撮りたい!という時は、端的に。そして、子供の動きはワンテイクかもしれないということを踏まえ、シャッタースピードを上げて連写で撮影してみましょう。

撮影しているとき。写真をモニターで確認したとき。プリントして見返したとき。何度も子供の愛おしさに触れられるのが、写真のいいところ。ぜひ撮影したあとは、お子さまと一緒に写真を囲んで「可愛い!」「かっこいい!」と撮影した時の思い出を振り返りながら、団らんしてくださいね。

全力で「今」を生きるお子さまの姿、ぜひ形に残してみてください。


 

写真家プロフィール

 
    ファミリー&キッズフォトグラファー 石井 寛子  Hiroko Ishii

大阪府出身、二児の母。モデルや、レポーターの経験をしたのち、撮られることから撮る側の楽しさに目覚める。過去にカメラと写真のワールドプレミアショー「CP+」にてタムロンブースのステージに登壇し、レンズの魅力を伝える。
フォトテクニックデジタル(玄光社)、デジタルカメラマガジン(インプレス)の連載やカメラグランプリ選考委員も務めた。2019 年には親友とポートレートのふたり展「鏡像 -reflection-」を開催。
現在では、七五三やお宮参りなどご家族の記念撮影や保育園の専属カメラマンとして、お子さまの魅力を最大限に引き出す撮影をモットーに、日々奮闘中。


【写真家サイト】
HP:https://hiroko141photo.com/ 
Instagram:https://www.instagram.com/hiroko.camera/?hl=ja
Twitter:  https://twitter.com/ishiihiroko
 

 

今回ご使用いただいたレンズ

■タムロン70-300mm F/4.5-6.3 Di III RXD (Model A047) ソニー Eマウント用

2020年10月発売。望遠の世界をより多くの方に楽しんでいただくために生まれた、フルサイズミラーレス一眼カメラ対応のソニー Eマウント用望遠ズームレンズです。幅広い望遠域をカバーしながらも、長さ148mm、最大径φ77mm、重さ545gと、軽量・コンパクトサイズを達成。特殊硝材の採用により、高解像な画像と望遠レンズならではの美しいボケ味を楽しむことができます。AF駆動には静粛性に優れた高速・精密なステッピングモーターユニットRXD (Rapid eXtra-silent stepping Drive)を搭載。様々なシーンで手持ちで軽快に撮影をお楽しみいただけるレンズです。
2022年9月29日より、ニコン Z マウント用も販売を開始いたしました。
70-300mm F4.5-5.6 (Model A047)製品ページ



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この記事へのコメント

  • キッズフォトやブライダルフォトの人たちの、「ギリギリ攻めたハイライト」をどういう感覚やロジックで作っているか知りたい。白飛びさせて良い、ダメの線引きとか。

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